オフィスコンピュータ入門 (1982)
非常勤先の大学の図書館で、毎年不要になった (重複したり、価値を減じたトレンド本など) 本を、無料で頒布しています。今年も、ちょうど昨日からはじまったので、覗いてみました。
これから順次追加されるのかもしれませんが、今年は歴史や地誌関係の本が多く、あまり個人的な興味をそそるものはありませんでした。1冊だけいただいてきたのが、掲題の「オフィスコンピュータ入門」です。
私が生まれる (ちょっと) 前の本ですが、今と昔と、言っていることは変わらないなぁと感じました。以下、一部を抜粋しています。
「ユーザー部門主導のIT活用」とか、今でも言いますね。そして、「全社員がプログラミングを!全員にPython研修を!」という話もよくあります。さらに、ITシステムの導入においては、「トップの問題意識と目的の明確化が大事」というのも、私自身、研修で「AIで何がしたいんですか?DXしてどうなりたいんですか?」といつも問うているところです。
ただ、「毎日遅くていやんなっちゃう」と嘆いている女性社員が見ている時計が7時なのは、なんか平和な時代だな、とか思ってしまいますが😅
同様に、ITシステム導入の勘所は「トップの積極的な姿勢」「導入目的の明確化」「適用業務の厳選」というのも、現在とまったく同じです。「DXっていうのが流行っているから」「コンサルに提案されたから」みたいな “ノリ” でITシステムや関連施策を導入しても、絶対にうまくいきません。経営層が「自分が責任をもってITで課題解決をする」という意思が古今問わず、必要なのでしょう。…この40年、誰もそれを実現できていないから、今でも言われているのですが。
「オフィスコンピュータ」や「ディーラ」という単語は時代を感じさせますが、内容は今でも通用する、根本的なことが書いてありました。
ちなみに、昨年は「オフィス・オートメーション入門」という本をいただいてきて、やはり現在DXやRPAと言われているようなことが、40年前から言われていて、そして実現できていないことがわかりました。
40年前の20代、30代で、まさにオフィスコンピュータの導入やオフィスオートメーションの推進を担っていたはずの方々が、何も実現できず現役期間を過ごして去り、エラくなった人は自分たちができなかったことを忘れて、部下に「DXに対応できていないじゃないか」とか言うのは、不条理な気もします。部活の悪い風習と同じですね。
それを繰り返さないためには、(前の世代のことは切り捨てて) 自分たちが今の時代に見合ったIT導入、DXを進めていかなければならないのでしょう。