鶴見教育工学研究所

ツルハシとジーンズ

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変化の激しいこのギョーカイで10年もジーンズを売ってたら、それはもうリーバイスなんよ🤪

はじめに書いておきますが、この記事は何かを論じたいわけでも、物申したいわけでもなく、ただ「15年同じ澱みに漂っている者」から見た感想を綴っているだけです。

最近また、「データサイエンティスト論」がお盛んですが、これはもう恒例行事ですね。“下々の者” をご存知ないアカデミアのせんせーが「希望職種」の一つと化したデータサイエンティスト像に疑問を呈し、いつもの有名人が「ツルハシとジーンズ」の例を出して。

検索したら毎年おっしゃっていたので、ちょっと笑ってしまいましたが。で、冒頭につながるわけですが、2019年からゴールドラッシュが続いていて、一攫千金を夢見る人にツルハシやジーンズが売れ続けているのであれば、それはもう「産業」だと思うんですよね。例え話の重箱をつついてもしょうがないですが、そもそもゴールドラッシュ以前にはジーンズがなかったわけで、それを生み出して現在に続く新しいファッションを創造したリーバイ・ストラウスは「イノベーター」じゃないですか。実際、データサイエンティストになるにはスクールだ!といったあたりから、「リスキリング」という国家プロジェクトまで生まれているわけで。1教育がお金になる、ということが従来からのITベンダー系研修会社だけでなく、広く世間に知れ渡ったことで、新しいビジネス領域が生まれ (そして消え🤪)、社会が (良し悪しにせよ) 変わりました。

多分、ゴールドラッシュの頃にも、それ以前から大学で地質学や土木工学を学んだ鉱山技師たちは、「岩石のことも知らずに金が掘れるか」とか思っていたのでしょう。

それによって人が移動し、街が作られ、鉄道が引かれ、フロンティアが消失しました。そして、ジーンズは鉱山だけでなく、あらゆる人が身につけるものになりました。「アメリカ」が生まれたのです。2現在のゴールドラッシュでも、社会のトレンドが変化し、さまざまな教育コンテンツやスキル標準が作られ、それらをかいつまんだ (発端の) ロードマップが生まれ、高度理系人材にとってのフロンティアが消失しているのでしょう。そして、ジーンズ=教育≒リスキリングは一部のエンジニアだけでなく、あらゆる人にとって必要なものになりました。「DX」が実現に近づくのです。

そう考えると、社会にとっては、この世の中の動きはそう悪いものではないのではないでしょうか。

さて、以下はXにポストしようとしたり、実際にポストして「まぁ140文字で伝わらないよなぁ」と思って消したものです。ここに書いたから伝わるとも思っていませんが、せっかくなので書き留めておきます。

上位を構成する人材が、まさに受験文化の「勝者」だからだと思いますが。

博士号、メダル、前から「トロフィー」大好きなギョーカイじゃないですか。


個人的には、10年以上前からデータサイエンティストには「1000万円」という金額がついて回ってたし、「まず東大の赤い『統計学入門』を読んで、次に『はじパタ』、そして『カステラ本』を通読する」とか書籍リストが流布していて、「落下傘方式で学べば良い」という有名人がいて、今と本質的に変わってないと思うんですけどね。本が動画になったり、就職先があの頃のキラキラDSベンチャーから大手コンサル、ITベンダーになっただけで。

10年以上成長せずに同じところを漂っている身からしたら、変わったのは10歳年を取ったあなた達じゃないですか、と。


  1. アメリカ由来の言葉ですが、アメリカでも多分同じような経緯なんじゃないでしょうか。 ↩︎

  2. Wikipediaをざっくり読んだ程度なので、細かい歴史認識についてはご勘弁ください。 ↩︎